WordPressサーバー会社間の移管
完全手順ガイド
ロリポップ→エックスサーバー、さくら→ConoHa WINGなど、異なるレンタルサーバー会社間でWordPressを移行する最も一般的なパターンです。プラグインを使った簡単な方法から、FTP+phpMyAdminを使った手動移行まで2つの方法を完全解説します。同一ドメインのままURLが変わらないためSEOへの影響もほぼありません。
📋 目次
🗺️ 1. 全体像と作業フロー
サーバー会社間の移管は「URLが変わらない」最もシンプルな移行パターンです。同一ドメインを維持したままサーバーだけを乗り換えるため、Googleの検索順位への影響も最小限に抑えられます。
作業の大まかな流れは以下の通りです:
- 事前準備:新サーバー契約・旧サーバーのバックアップ・DNS TTL短縮
- 新サーバー構築:ドメイン追加・DB作成・WordPress仮インストール
- データ移行:プラグインまたは手動でファイル+DBを新サーバーへ
- 事前動作確認:hostsファイルで一般ユーザーに影響を出さず確認
- DNS切り替え:ドメインの向き先を新サーバーへ変更・伝播待機
- 仕上げ・解約:全機能確認・旧サーバー解約
🔀 2. 移行方法の選び方
サーバー会社間の移管には主に2つの方法があります。サイトの規模・技術レベルに合わせて選んでください。
All-in-One WP MigrationでGUI操作のみ完結。DB知識・FTP不要。エクスポート→インポートの2ステップで全データを移行できます。無料版は512MBまで。
FTP+phpMyAdminを使った移行。大容量サイトや細かい制御が必要なケースに適切。やや技術知識が必要ですが容量制限なしで確実に移行できます。
| 比較項目 | 方法A:プラグイン | 方法B:手動 |
|---|---|---|
| 難易度 | ★★☆☆☆(やさしい) | ★★★☆☆(ふつう) |
| 所要時間 | 1〜2時間 | 2〜4時間 |
| 容量制限 | 無料版512MBまで | 制限なし |
| FTP必要 | 不要 | 必要 |
| DBの操作 | 不要(自動) | phpMyAdminで手動 |
| 大容量サイト | 有料版か工夫が必要 | 対応可 |
| 推奨シーン | 個人ブログ・中小サイト | 大規模・ECサイト |
🔌 3. 【方法A】All-in-One WP Migrationを使った移行
新サーバーを契約する
移行先のレンタルサーバーを契約します。移行作業の間は旧サーバーも継続が必要なため、旧サーバーの更新日より1ヶ月以上前に新サーバーを契約するのが理想です。
WordPressとプラグイン・テーマを最新バージョンに更新
旧サーバーの管理画面から WordPress本体・プラグイン・テーマを最新バージョンに更新します。古いバージョンが残っていると移行後にエラーが起きやすくなります。
セキュリティ系プラグインを一時無効化
SiteGuard WP Plugin などログインURL変更系のセキュリティプラグインは、移行後にログインできなくなるケースがあります。移行前に一時無効化しておきましょう。移行完了後に再度有効化できます。
完全バックアップを取得する(複数箇所に保管)
UpdraftPlus等でファイル+DBのバックアップを取得し、ローカルPC+クラウドストレージに保存します。これが最後の安全網です。絶対に省略しないでください。
DNSのTTL値を短縮する(推奨)
ドメインのDNS管理画面でTTL値を300〜600秒に変更します。後のDNS切り替え後の伝播時間を大幅に短縮できます。変更後は24時間以上待ってから次の作業に進みましょう(古いキャッシュが期限切れになるのを待つ)。
新サーバーにドメインを追加する
新サーバーの管理パネル(サーバーパネル)から、移管するドメインを追加します。この時点ではDNSを切り替えません(ネームサーバーはまだ旧サーバーのまま)。
PHPバージョンを確認・設定する
旧サーバーのPHPバージョン(管理画面 → ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー)と同じか、互換性のある新しいバージョンに設定します。メジャーバージョンの変更(例:7.4→8.2)は移行前にプラグイン互換性の確認が必要です。
MySQLデータベースを作成する
新サーバーの管理パネルからMySQLデータベースとユーザーを作成します。作成したDB名・ユーザー名・パスワードは必ずメモしておきます。
新サーバーにWordPressを仮インストールする
簡単インストール機能でWordPressをインストールします。この段階では仮のIDとパスワードを設定します(インポート後に旧サーバーのデータに上書きされます)。インストール後に管理画面にログインできることを確認してください。
旧サーバーにAll-in-One WP Migrationをインストール・有効化
旧サーバーの管理画面 → プラグイン → 新規追加 で「All-in-One WP Migration」を検索してインストール・有効化します。
エクスポートを実行する
管理画面 → All-in-One WP Migration → エクスポート → エクスポート先「ファイル」をクリック。サイトデータが サイト名-日付-xxxx.wpress という1つのファイルに圧縮されます。「高度なオプション」から「スパムコメントをエクスポートしない」「ポストリビジョンをエクスポートしない」にチェックするとサイズを削減できます。
エクスポートファイルをPCにダウンロードする
生成された .wpress ファイルをPCにダウンロードします。ファイルサイズが512MBを超える場合は 大容量サイトへの対応 を参照してください。
新サーバーの管理画面にログインする
hostsファイルを使うか、新サーバーの一時URL(多くのサーバーが提供)を使って新サーバーのWordPress管理画面にログインします。仮インストール時のID・パスワードを使用します。
新サーバーにもAll-in-One WP Migrationをインストール
新サーバーの管理画面でも同様にプラグインをインストール・有効化します。
インポートを実行する
管理画面 → All-in-One WP Migration → インポート → 「インポート元」→「ファイル」をクリックし、ダウンロードした .wpress ファイルを選択します。
警告ダイアログで「開始」をクリックする
「このサイトのデータが上書きされます」という警告が表示されます。内容を確認して「開始」をクリックします。インポートが完了するまでブラウザを閉じないでください。
【重要】パーマリンク構造を保存する
インポート完了後に「パーマリンク構造を保存する」ボタンが表示されます。必ずクリックしてください。クリックしないと記事URLが正常に機能しません。見逃した場合は設定 → パーマリンク設定 → 変更を保存でOKです。
旧サーバーのID・パスワードで再ログインする
インポート後は管理画面のログイン情報が旧サーバーのものに上書きされています。旧サーバーで使っていたユーザー名とパスワードでログインしてください。
https:// になっていることを確認します。
DNS切り替え前に自分のPCのhostsファイルを編集して新サーバーの動作を確認します。詳しい編集方法は 基礎知識ページのhostsファイル解説 を参照してください。
新サーバーのIPアドレスを確認する
新サーバーの管理パネルでIPアドレスを確認します(エックスサーバー→「サーバー情報」、ConoHa WING→「コントロールパネル → サーバー管理」など)。
hostsファイルに追記してアクセス確認
hostsファイルに新サーバーのIPとドメインを追記し、ブラウザのキャッシュをクリアしてから https://ドメイン名 にアクセスします。
以下の項目を確認する
✓ トップページが正しく表示される(デザイン崩れなし)
✓ 記事・固定ページが正しく表示される
✓ 画像・テーマが正常に表示される
✓ 管理画面(/wp-admin/)にログインできる
✓ https://(SSL)で鍵マーク🔒が表示される
✓ お問い合わせフォームが動作する(テスト送信)
✓ プラグインが正常に動作している
hostsファイルの追記を削除する
hostsファイルに追記した行(新サーバーIPとドメインの対応)を削除して保存します。
ドメインのネームサーバーを新サーバーに変更する
ドメインのレジストラ(お名前.com・ムームードメイン等)の管理画面にログインし、ネームサーバーを新サーバーのものに変更します。新サーバーのネームサーバー情報はサーバーパネルで確認できます。
DNS伝播を待つ(伝播チェックツール活用)
TTLを事前に短縮していれば数十分〜数時間で完了します。whatsmydns.net で世界各地からのDNS伝播状況を確認できます。伝播完了まで旧サーバーは解約しないでください。
伝播確認後に最終チェックを行う
hostsファイルなしの通常状態で全ページ・機能を確認します。移管後チェックリストを活用してください。
1〜2週間後に旧サーバーを解約する
安定稼働を確認してから旧サーバーを解約します。すぐに解約すると問題発生時の復旧手段がなくなります。
🔧 4. 【方法B】手動移行(FTP+phpMyAdmin)
512MBを超える大容量サイト、または細かい制御が必要な場合は手動移行を選択します。FTPとphpMyAdminの操作が必要ですが、容量制限がなく確実に移行できます。
手動移行の全体フロー
STEP1(事前準備)とSTEP2(新サーバー初期設定)はプラグイン移行と同じです。その後の移行手順が異なります。
STEP3:旧サーバーからファイルをダウンロード(FTP)
FileZillaで旧サーバーに接続する
FileZilla(無料)などのFTPソフトで旧サーバーに接続します。接続情報(FTPホスト・ユーザー名・パスワード・ポート)は旧サーバーの管理パネルで確認できます。
WordPressフォルダを丸ごとダウンロード
通常 public_html/ または www/ にあるWordPressのインストールフォルダを丸ごとダウンロードします。特に wp-content/(テーマ・プラグイン・メディア)と wp-config.php は必須です。容量が大きい場合はサーバーパネルのファイルマネージャーでzipに圧縮してからダウンロードすると速くなります。
STEP4:旧サーバーのデータベースをエクスポート(phpMyAdmin)
旧サーバーのphpMyAdminにログインする
旧サーバーの管理パネルからphpMyAdminを開き、WordPressが使用しているデータベースを左メニューから選択します。
「エクスポート」タブから.sqlファイルを書き出す
「エクスポート」タブを開き「実行」をクリック。以下の3項目にチェックを確認してください:
✓ DROP TABLEコマンドを追加
✓ IF NOT EXISTSを追加
✓ AUTO_INCREMENT値を追加
.sqlファイルとしてPCに保存します。
STEP5:新サーバーにファイルをアップロード(FTP)
新サーバーのWordPressファイルを上書きアップロード
FileZillaで新サーバーに接続し、ダウンロードしたWordPressファイルを新サーバーの公開フォルダにアップロードします。新サーバーに仮インストールしたWordPressのファイルを上書きします。
wp-config.phpのDB接続情報を新サーバーのものに書き換える
アップロードした wp-config.php を開き、以下の4つの値を新サーバーのDBの情報に変更します。
define( 'DB_NAME', '新サーバーのDB名' );
define( 'DB_USER', '新サーバーのDBユーザー名' );
define( 'DB_PASSWORD', '新サーバーのDBパスワード' );
define( 'DB_HOST', 'localhost' ); // 多くの場合はlocalhostのまま
STEP6:新サーバーのデータベースにインポート(phpMyAdmin)
新サーバーのphpMyAdminにログインする
新サーバーの管理パネルからphpMyAdminを開き、作成したデータベースを選択します。
「インポート」タブから.sqlファイルを読み込む
「インポート」タブを開き、旧サーバーからエクスポートした.sqlファイルを選択して「実行」をクリックします。インポートが完了すると「正常に実行されました」と表示されます。
STEP7以降はプラグイン移行と同じ
hostsファイルで動作確認(STEP5)、DNS切り替え(STEP6)はプラグイン移行と同じ手順で進めてください。
📦 5. 512MB超の大容量サイトへの対応
All-in-One WP Migrationの無料版はインポート時に512MBの制限があります。サイトが大容量の場合は以下の方法で対処します。
方法①:php.iniの設定を変更してアップロード上限を引き上げる
多くのレンタルサーバーでは php.ini または .htaccess でアップロード上限を変更できます。WordPressのルートディレクトリに以下の内容で .htaccess ファイルを追記(またはサーバーパネルのphp.ini設定で変更)します。
php_value upload_max_filesize 1024M
php_value post_max_size 1024M
php_value memory_limit 256M
php_value max_execution_time 300
方法②:メディアを除外してエクスポートし、FTPで別途転送する
エクスポート時の「高度なオプション」で「メディアライブラリをエクスポートしない(ファイル)」にチェックを入れてエクスポートすることでファイルサイズを大幅に削減できます。その後、メディアファイル(wp-content/uploads/)のみFTPで直接転送します。
方法③:Unlimited Extension(有料版)を購入する
All-in-One WP Migrationの公式が提供する有料拡張機能(Unlimited Extension)を購入することで容量制限がなくなります。価格は$69/年(2026年現在)。大容量サイトを扱う場合や複数サイトを管理する場合は検討に値します。
方法④:Duplicatorを使う
Duplicatorは無料版でも容量制限なしで利用できます(大容量サイトはパフォーマンスに注意)。詳細は 移管ツール比較ページ をご参照ください。
✅ 6. 移行後の確認・仕上げ作業チェックリスト
DNS切り替えが完了し、新サーバーへのアクセスが安定したら以下の項目を確認します。見落としが多いポイントを網羅しています。
🌐 表示・動作の確認
- ☑トップページ・記事・固定ページが正しく表示される
- ☑画像・動画・PDFなどのメディアが正しく表示される
- ☑https://(SSL)で鍵マーク🔒が表示される・混合コンテンツエラーがない
- ☑管理画面(/wp-admin/)にログインできる
- ☑パーマリンク設定を保存済みである(設定 → パーマリンク設定 → 変更を保存)
- ☑内部リンクが正常に機能する
- ☑お問い合わせフォームでテストメールを送受信できる
- ☑検索機能が正常に動作する
🔒 セキュリティの確認
- ☑SSL証明書が正しく設定されている(有効期限も確認)
- ☑一時無効化したセキュリティプラグインを再有効化した
- ☑WordPressのパスワードを強固なものに変更した
- ☑不要なプラグインを削除した
📊 外部連携の確認
- ☑Google Search Consoleで新サーバーのサイトを確認した
- ☑Google Analyticsのデータが正常に取得されている
- ☑Contact Form 7等フォームの送信先メールアドレスを確認した
- ☑reCAPTCHAを使用している場合、ドメインの登録を確認した
- ☑広告コード(Google AdSense等)が正常に表示されている
🗑️ 仕上げ作業
- ☑hostsファイルの移管用追記を削除した
- ☑DNS TTL値を元の値(3600秒等)に戻した
- ☑移管に使ったAll-in-One WP Migrationプラグインを必要に応じて削除
- ☑旧サーバー上のデータを最終バックアップとして保存した
- ☑1〜2週間後に旧サーバーを解約した
詳細なチェックリストは 移管後チェックリストページ でも確認できます。
🔨 7. よくあるトラブルと対処法
インポートすると管理者ユーザー情報が旧サーバーのものに上書きされます。旧サーバーで使っていたユーザー名とパスワードでログインしてください。ブラウザのキャッシュやCookieが原因のこともあるため、シークレットモードでもお試しください。それでもログインできない場合は、phpMyAdminの wp_users テーブルから管理者のパスワードをMD5形式で直接変更できます。
サーバーのタイムアウト設定に引っかかっています。.htaccess または php.ini で max_execution_time = 600 に変更するか、サーバーパネルのPHP設定で最大実行時間を延長してください。
パーマリンク設定のリセットが原因です。WordPress管理画面 → 設定 → パーマリンク設定 を開き、何も変更せずに「変更を保存」ボタンをクリックしてください。.htaccessが再生成されてURLが正常に機能します。
メディアファイルの転送が完了していない可能性があります。FTPで wp-content/uploads/ フォルダが新サーバーに正しくアップロードされているか確認してください。大容量サイトでメディアを除外してエクスポートした場合は、FTPで別途アップロードが必要です。
新サーバーでSSL証明書がまだ設定されていないか、混合コンテンツエラーが発生しています。新サーバーのパネルでSSL証明書を発行し、WordPressの設定URLをhttpsに変更してください。混合コンテンツが原因の場合は「Really Simple SSL」プラグインで対処するか、Better Search Replaceでhttpをhttpsに一括置換します。
ブラウザや回線のDNSキャッシュに古い情報が残っている可能性があります。ブラウザのキャッシュをクリアするか、スマートフォンの通信(WiFiではなく4G/5G)でアクセスして確認してください。whatsmydns.net でグローバルな伝播状況を確認できます。
新サーバーのPHPバージョンが旧サーバーと異なる場合に起きやすいです。新サーバーのPHPバージョンを旧サーバーに合わせるか、問題のあるプラグイン・テーマを最新版に更新してください。それでも解決しない場合はプラグインの開発者のサポートを確認してください。
❓ 8. よくある質問(FAQ)
Q. 同じレンタルサーバー会社内での移管(プランの変更など)もこの方法で行えますか?
同一サーバー会社内でのプラン変更(例:ロリポップのライトプラン→スタンダードプランへの移行)はサーバー会社独自の移行ツールや手順が提供されている場合がほとんどです。今回の手順よりも簡単なケースが多いため、まずサーバー会社のサポートページを確認してください。ただし完全に別々のサーバーアカウントへの移行の場合は本ガイドの手順が使えます。
Q. All-in-One WP Migrationの有料版(Unlimited Extension)の価格は?
2026年現在、Unlimited Extensionの価格は$69/年(シングルサイトライセンス)です。一度購入するとサイズ制限なしでインポートが可能になります。年間更新が必要ですが、移管後は不要であれば更新しなくてもそのまま使い続けられます(更新なしでも移行済みサイトには影響なし)。
Q. 移管後もSEOランキングを維持できますか?
同一ドメインのままサーバーを変更するだけであれば、URLが変わらないためSEOへの直接的な影響はほぼありません。むしろ移管後にサーバーの応答速度が改善されれば、ページの読み込み速度向上によりSEO評価にプラスになる場合があります。ただし移管後に一時的にランキングが変動することは稀にあります(Googleのクロール・インデックス処理の関係)が、通常は数日〜1週間で元に戻ります。
Q. WordPressのバージョンも同じものがインポートされますか?
はい、All-in-One WP Migrationはインポート時にWordPressのコアファイルも含めて移行します。ただし、移行完了後に管理画面から最新バージョンへのアップデートを行うことを推奨します。
Q. メールサーバーも同時に移管できますか?
メールサーバーは別途の移管手続きが必要です。ドメインのDNS設定にはWebサーバー向けのAレコード(またはネームサーバー設定)とメールサーバー向けのMXレコードが別々に存在します。メールを同時に移管する場合は、旧サーバーのメールデータのバックアップと、DNSのMXレコードの変更が必要です。これはWebサーバーの移管とは別の作業として計画してください。