このページで分かること

1. メジャー・マイナーアップデートの違い

WordPressのバージョン番号は「メジャー.マイナー.パッチ」の形式で管理されています。それぞれ更新の性質が大きく異なります。

種類例内容更新頻度
メジャーアップデート7.0 → 7.1新機能追加、エディタの大幅な変更を伴うことがある2026年は年3回(4ヶ月間隔)
マイナー・パッチアップデート7.0.3 → 7.0.4バグ修正・セキュリティ修正のみ不定期(必要に応じて随時)

2026年はWordPressが年3回のメジャーリリース体制に戻った年で、5月に7.0「Armstrong」、8月に7.1「Mary Lou」がリリースされ、12月頃に7.2のリリースが予定されています。マイナー・パッチアップデートはこの間にも随時配信されます。

ポイント:マイナーアップデートは初期設定で自動的に適用されます。重大なセキュリティ問題が見つかった場合、WordPress.org側の判断で通常の設定に関わらず強制的に自動更新が適用されることもあります(2026年7月のWordPress 7.0.2はこの強制適用が行われた事例です)。

2. 更新前の準備

特にメジャーアップデートの前は、以下の準備を必ず行いましょう。

1バックアップを取る:ファイル・データベースの両方を含む完全バックアップを実行します。詳しい手順はバックアップ完全ガイドを参照してください。

2PHP・MySQLのバージョンを確認する:「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」から、現在のPHP・データベースバージョンを確認し、新しいWordPressバージョンの要件を満たしているか確認します。

3使用中のプラグイン・テーマの対応状況を確認する:特に古いブロック(Block API v2以前)に依存したプラグインは、WordPress 7.1以降でエディタの挙動変更(常時iframe化)の影響を受ける可能性があります。開発元の更新履歴やサポートフォーラムを確認しましょう。

4可能であればステージング環境で先に試す:本番環境に反映する前に、複製したテスト環境で動作確認できると安心です。

鉄則:バックアップなしでのメジャーアップデートは避けてください。特に大きなエディタ変更を伴うリリース(WordPress 7.0や7.1等)では、カスタムブロックや古いプラグインとの相性問題が起きる可能性があります。

3. 更新手順(管理画面・WP-CLI・手動)

方法1:管理画面から更新する(最も一般的)

1ダッシュボード左メニューの「更新」をクリック

2新しいバージョンが表示されている場合、「今すぐ更新」ボタンをクリック

3更新完了まで数分待ち、完了メッセージを確認

4サイトのトップページ・管理画面が正常に表示されるか確認

方法2:WP-CLIで更新する(サーバー管理に慣れている場合)

SSHでサーバーに接続できる環境であれば、WP-CLIを使ったコマンドライン更新が可能です。

wp core check-update(更新の有無を確認)
wp core update(本体を更新)
wp core update-db(データベースの更新を実行)

方法3:手動(FTP)で更新する(自動更新に失敗する場合)

1WordPress.orgから最新版のzipファイルをダウンロード

2展開したファイルのうち、wp-contentフォルダとwp-config.phpはアップロードしない(既存の設定・コンテンツを上書きしないため)

3それ以外の全ファイル・フォルダをFTPでサーバーの該当ディレクトリに上書きアップロード

4管理画面にアクセスし、データベース更新が必要な場合は案内に従って実行

4. 自動更新の設定

WordPressは2013年のバージョン3.7以降、マイナー・セキュリティアップデートを標準で自動適用する仕組みを持っています。その後、バージョン5.5(2020年8月)で個別プラグイン・テーマごとの自動更新リンクが、バージョン5.6(2020年12月)でメジャーアップデートの自動化を管理画面上から設定できる仕組みが追加され、現在の形になりました。

設定初期状態推奨
マイナー・セキュリティ更新自動自動のままでよい
メジャーアップデート手動手動のまま、事前確認してから実施

wp-config.phpに以下の定数を追加することで、開発者はより細かく自動更新を制御できます。

define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', false);(本体の自動更新を完全に無効化)
define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', 'minor');(マイナーのみ自動、初期設定と同じ)
define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', true);(メジャーも含め全て自動)
注意:前述の通り、重大なセキュリティ脆弱性が見つかった場合はこの設定に関わらず強制的に更新が適用されることがあります。「自動更新をオフにしているから安全」という考え方は誤りで、こまめな手動確認は引き続き必要です。

5. ベータ版・RC版のテスト参加について

WordPressの新バージョンは、正式リリース前に「Beta(ベータ版)」→「RC(リリース候補)」という段階を経てテストされます。開発者やテスターは「WordPress Beta Tester」プラグインを使って早期に新機能を試せます。

絶対に避けてください:ベータ版・RC版は本番運用中のサイトには絶対にインストールしないでください。データ破損や予期しない不具合のリスクがあり、公式にも「本番・重要なサイトでのテストは行わないように」と明記されています。テストは必ずローカル環境やステージング環境で行いましょう。

6. マルチサイト・マネージドホスティングでの注意点

マルチサイト(ネットワーク)環境の場合

マルチサイト機能を使っている場合、WordPress本体の更新はネットワーク管理者が一度実行するだけで、ネットワーク全体(全サブサイト)に適用されます。個別のサブサイトごとに更新する必要はありません。ただし、各サブサイトで有効化しているテーマ・プラグインの互換性は、サブサイトごとに個別に確認が必要です。詳しくはマルチサイト機能の解説ページもあわせてご覧ください。

マネージドホスティング(WP Engine・Kinsta等)を使っている場合

WP EngineやKinstaのようなマネージドWordPressホスティングでは、ホスティング側がWordPress本体の更新を自動的に管理・適用するケースがあります。管理画面上で更新ボタンが表示されない、あるいは更新操作をしてもホスティング側の管理下で処理される場合は、ホスティングサービスの管理画面やサポートドキュメントを確認してください。自己判断で更新を強行しようとすると、ホスティング側の管理体制と競合してトラブルになることがあります。

参考:マネージドホスティングへの移行を検討している場合はマネージドWordPressへの移行パターンのページも参考になります。

7. 更新後の確認事項

更新が完了したら、以下の項目を一通り確認しましょう。

8. よくあるトラブルと対処法

「データベースをアップグレードしています」から進まない

通信の不安定さや処理のタイムアウトが原因であることが多い症状です。まずFTP接続でサイトのルートディレクトリを確認し、.maintenanceというファイルが残っていないか確認してください。残っている場合はこのファイルを削除すると、通常の状態に戻ります。その後、再度更新を試みてください。

更新後にサイトが真っ白になる(White Screen of Death)

多くの場合、プラグインやテーマとの互換性問題が原因です。FTPでwp-content/pluginsフォルダ内の各プラグインフォルダ名を一時的にリネームし、原因のプラグインを特定してください。詳しい復旧手順はバックアップからの復旧手順を参照してください。

権限エラーで更新できない(Could not create directory)

サーバー上のファイル・フォルダのパーミッション設定が原因です。FTPソフトやレンタルサーバーの管理画面から、該当フォルダのパーミッションを確認・修正するか、レンタルサーバーのサポートに問い合わせてください。

9. ダウングレード(本体を戻す方法)

更新後に致命的な不具合が発生し、どうしても前のバージョンに戻したい場合は、以下の方法があります。

注意:データベース構造がバージョンアップに伴って変更されている場合、本体だけを古いバージョンに戻すとデータの不整合が起きる可能性があります。ダウングレードよりも、問題の原因(特定プラグインとの非互換等)を特定して対処する方が根本的な解決になることが多いです。

よくある質問

Q1. WordPress本体の更新は自動でも大丈夫ですか?

A. マイナーアップデート(バグ修正・セキュリティ修正)は初期設定で自動更新される仕組みになっており、基本的にそのままで問題ありません。一方メジャーアップデートは大きな機能変更を伴うため、自動化せず手動でタイミングを選んで実施することをおすすめします。

Q2. 更新中に「データベースを更新しています」で止まったらどうすればいいですか?

A. 多くの場合、通信が不安定な状態で処理が中断しています。数分待っても変化がない場合は、FTPでサイトのルートディレクトリにある「.maintenance」というファイルを削除し、再度ダッシュボードにアクセスしてみてください。それでも解決しない場合は手動更新(ファイルの直接アップロード)を検討してください。

Q3. マルチサイト(ネットワーク)環境でも更新方法は同じですか?

A. WordPress本体の更新自体はネットワーク管理者が一度実行するだけで、ネットワーク全体に適用されます。ただし各サブサイトで有効化しているテーマ・プラグインの互換性は個別に確認が必要です。詳しくはマルチサイトの解説ページも参照してください。

まとめ・チェックリスト

WordPress本体の更新は、セキュリティと機能性を保つための基本的なメンテナンス作業です。マイナーアップデートは自動更新に任せつつ、メジャーアップデートは事前準備を整えてから計画的に実施しましょう。

更新前チェックリスト:
  • 完全バックアップ(ファイル+データベース)を取得した
  • PHP・データベースのバージョンが新バージョンの要件を満たしている
  • 主要なプラグイン・テーマの対応状況を確認した
  • 可能であればステージング環境で動作確認した
  • 更新後の確認項目リストを準備した

関連ページ

↑