WordPress本体の更新(アップデート)完全ガイド
WordPress本体の更新は、サイト全体の土台を最新の状態に保つ最も基本的なメンテナンス作業です。2026年8月時点の最新バージョンはWordPress 7.1「Mary Lou」(2026年8月19日リリース)です。このページでは、メジャー・マイナーアップデートの違いから、安全な更新手順、自動更新の設定、マルチサイト・マネージドホスティングでの注意点、更新後のトラブル対処まで体系的に解説します。
- メジャー・マイナーアップデートの違いと更新頻度
- 更新前に確認すべきPHP・プラグイン互換性のチェック方法
- 管理画面・WP-CLI・手動(FTP)の3つの更新手順
- 自動更新を安全にコントロールする設定方法
- マルチサイト・マネージドホスティング特有の注意点
- 更新が途中で止まった・失敗した場合の対処法
1. メジャー・マイナーアップデートの違い
WordPressのバージョン番号は「メジャー.マイナー.パッチ」の形式で管理されています。それぞれ更新の性質が大きく異なります。
| 種類 | 例 | 内容 | 更新頻度 |
|---|---|---|---|
| メジャーアップデート | 7.0 → 7.1 | 新機能追加、エディタの大幅な変更を伴うことがある | 2026年は年3回(4ヶ月間隔) |
| マイナー・パッチアップデート | 7.0.3 → 7.0.4 | バグ修正・セキュリティ修正のみ | 不定期(必要に応じて随時) |
2026年はWordPressが年3回のメジャーリリース体制に戻った年で、5月に7.0「Armstrong」、8月に7.1「Mary Lou」がリリースされ、12月頃に7.2のリリースが予定されています。マイナー・パッチアップデートはこの間にも随時配信されます。
2. 更新前の準備
特にメジャーアップデートの前は、以下の準備を必ず行いましょう。
1バックアップを取る:ファイル・データベースの両方を含む完全バックアップを実行します。詳しい手順はバックアップ完全ガイドを参照してください。
2PHP・MySQLのバージョンを確認する:「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」から、現在のPHP・データベースバージョンを確認し、新しいWordPressバージョンの要件を満たしているか確認します。
3使用中のプラグイン・テーマの対応状況を確認する:特に古いブロック(Block API v2以前)に依存したプラグインは、WordPress 7.1以降でエディタの挙動変更(常時iframe化)の影響を受ける可能性があります。開発元の更新履歴やサポートフォーラムを確認しましょう。
4可能であればステージング環境で先に試す:本番環境に反映する前に、複製したテスト環境で動作確認できると安心です。
3. 更新手順(管理画面・WP-CLI・手動)
方法1:管理画面から更新する(最も一般的)
1ダッシュボード左メニューの「更新」をクリック
2新しいバージョンが表示されている場合、「今すぐ更新」ボタンをクリック
3更新完了まで数分待ち、完了メッセージを確認
4サイトのトップページ・管理画面が正常に表示されるか確認
方法2:WP-CLIで更新する(サーバー管理に慣れている場合)
SSHでサーバーに接続できる環境であれば、WP-CLIを使ったコマンドライン更新が可能です。
wp core check-update(更新の有無を確認)wp core update(本体を更新)wp core update-db(データベースの更新を実行)
方法3:手動(FTP)で更新する(自動更新に失敗する場合)
1WordPress.orgから最新版のzipファイルをダウンロード
2展開したファイルのうち、wp-contentフォルダとwp-config.phpはアップロードしない(既存の設定・コンテンツを上書きしないため)
3それ以外の全ファイル・フォルダをFTPでサーバーの該当ディレクトリに上書きアップロード
4管理画面にアクセスし、データベース更新が必要な場合は案内に従って実行
4. 自動更新の設定
WordPressは2013年のバージョン3.7以降、マイナー・セキュリティアップデートを標準で自動適用する仕組みを持っています。その後、バージョン5.5(2020年8月)で個別プラグイン・テーマごとの自動更新リンクが、バージョン5.6(2020年12月)でメジャーアップデートの自動化を管理画面上から設定できる仕組みが追加され、現在の形になりました。
| 設定 | 初期状態 | 推奨 |
|---|---|---|
| マイナー・セキュリティ更新 | 自動 | 自動のままでよい |
| メジャーアップデート | 手動 | 手動のまま、事前確認してから実施 |
wp-config.phpに以下の定数を追加することで、開発者はより細かく自動更新を制御できます。
define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', false);(本体の自動更新を完全に無効化)define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', 'minor');(マイナーのみ自動、初期設定と同じ)define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', true);(メジャーも含め全て自動)
5. ベータ版・RC版のテスト参加について
WordPressの新バージョンは、正式リリース前に「Beta(ベータ版)」→「RC(リリース候補)」という段階を経てテストされます。開発者やテスターは「WordPress Beta Tester」プラグインを使って早期に新機能を試せます。
6. マルチサイト・マネージドホスティングでの注意点
マルチサイト(ネットワーク)環境の場合
マルチサイト機能を使っている場合、WordPress本体の更新はネットワーク管理者が一度実行するだけで、ネットワーク全体(全サブサイト)に適用されます。個別のサブサイトごとに更新する必要はありません。ただし、各サブサイトで有効化しているテーマ・プラグインの互換性は、サブサイトごとに個別に確認が必要です。詳しくはマルチサイト機能の解説ページもあわせてご覧ください。
マネージドホスティング(WP Engine・Kinsta等)を使っている場合
WP EngineやKinstaのようなマネージドWordPressホスティングでは、ホスティング側がWordPress本体の更新を自動的に管理・適用するケースがあります。管理画面上で更新ボタンが表示されない、あるいは更新操作をしてもホスティング側の管理下で処理される場合は、ホスティングサービスの管理画面やサポートドキュメントを確認してください。自己判断で更新を強行しようとすると、ホスティング側の管理体制と競合してトラブルになることがあります。
7. 更新後の確認事項
更新が完了したら、以下の項目を一通り確認しましょう。
- サイトのトップページ・主要な固定ページが正常に表示されるか
- 投稿の編集画面(ブロックエディタ)が正常に動作するか
- 問い合わせフォーム・決済機能等、重要な機能が動作するか
- 管理画面にエラーメッセージや警告が表示されていないか
- 表示速度に大きな変化がないか
8. よくあるトラブルと対処法
「データベースをアップグレードしています」から進まない
通信の不安定さや処理のタイムアウトが原因であることが多い症状です。まずFTP接続でサイトのルートディレクトリを確認し、.maintenanceというファイルが残っていないか確認してください。残っている場合はこのファイルを削除すると、通常の状態に戻ります。その後、再度更新を試みてください。
更新後にサイトが真っ白になる(White Screen of Death)
多くの場合、プラグインやテーマとの互換性問題が原因です。FTPでwp-content/pluginsフォルダ内の各プラグインフォルダ名を一時的にリネームし、原因のプラグインを特定してください。詳しい復旧手順はバックアップからの復旧手順を参照してください。
権限エラーで更新できない(Could not create directory)
サーバー上のファイル・フォルダのパーミッション設定が原因です。FTPソフトやレンタルサーバーの管理画面から、該当フォルダのパーミッションを確認・修正するか、レンタルサーバーのサポートに問い合わせてください。
9. ダウングレード(本体を戻す方法)
更新後に致命的な不具合が発生し、どうしても前のバージョンに戻したい場合は、以下の方法があります。
- バックアップからの復元:最も確実な方法です。更新前に取得したバックアップから復元します。
- WP Rollbackプラグインの利用:WordPress.orgの無料プラグインで、管理画面から特定バージョンへの再インストールが可能です。
- 手動での旧バージョン設置:WordPress.orgの「リリースアーカイブ」から目的のバージョンのzipをダウンロードし、コアファイルを上書きする方法です(データベース構造が新バージョン用に変更されている場合は非推奨)。
よくある質問
Q1. WordPress本体の更新は自動でも大丈夫ですか?
A. マイナーアップデート(バグ修正・セキュリティ修正)は初期設定で自動更新される仕組みになっており、基本的にそのままで問題ありません。一方メジャーアップデートは大きな機能変更を伴うため、自動化せず手動でタイミングを選んで実施することをおすすめします。
Q2. 更新中に「データベースを更新しています」で止まったらどうすればいいですか?
A. 多くの場合、通信が不安定な状態で処理が中断しています。数分待っても変化がない場合は、FTPでサイトのルートディレクトリにある「.maintenance」というファイルを削除し、再度ダッシュボードにアクセスしてみてください。それでも解決しない場合は手動更新(ファイルの直接アップロード)を検討してください。
Q3. マルチサイト(ネットワーク)環境でも更新方法は同じですか?
A. WordPress本体の更新自体はネットワーク管理者が一度実行するだけで、ネットワーク全体に適用されます。ただし各サブサイトで有効化しているテーマ・プラグインの互換性は個別に確認が必要です。詳しくはマルチサイトの解説ページも参照してください。
まとめ・チェックリスト
WordPress本体の更新は、セキュリティと機能性を保つための基本的なメンテナンス作業です。マイナーアップデートは自動更新に任せつつ、メジャーアップデートは事前準備を整えてから計画的に実施しましょう。
- 完全バックアップ(ファイル+データベース)を取得した
- PHP・データベースのバージョンが新バージョンの要件を満たしている
- 主要なプラグイン・テーマの対応状況を確認した
- 可能であればステージング環境で動作確認した
- 更新後の確認項目リストを準備した